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ブルーノートの創立者アルフレッド・ライオン最後のインタビューより、その⑦~「サマータイム」の真実

(前回まで)
少年時代のベルリン以来の再会を果たしたシドニー・ベシェは、ハーレムで不遇の日々をかこっていました。RCAビクターから相手にされなかったという「サマータイム」の録音を、生まれたばかりの自分のレーベル、ブルーノートで実現するようアルフレッドはベシェに頼みます。

うして
シドニー・ベシェ「サマータイム」
は1939年6月、ザ・ポート・オブ・ハーレム・ジャズメンの2度目のセッションにベシェがゲスト参加するような形で録音されます。

録音メンバーは以下の通り。

ベシェ(ソプラノ・サックス)
ミード・ルクス・ルイス(ピアノ)
テディ・バン(ギター)
ジョニー・ウィリアムス(ベース)
シド・カトレット(ドラムス)

ベシェのワンホーンでリーダー格のフランキー・ニュートン(トランペット)は参加していません。

ニュートンはトイレに行っていたのですが、
「だいじょうぶ。この曲はひとりで吹くから」
とベシェがいって録音を進めたのだそうです。

アルフレッドは続けて言います。
「ベシェはニュートンをこの曲に入れたくなかったので、わざと(トイレに行っている隙に録音)したと誰かが言っているのを読んだけれど、事実ではない。ベシェはそんな人じゃない」
この「誰か」は評論家のアイラ・ギトラーと思われます。
1969年のブルーノート創立30年史に、ギトラーはこう書いています。
「いざ録音という段になって、ニュートンがトイレをがまんできなくなった。結局、彼が戻るより早くベシェが吹き込みを終えてしまったので、ニュートンは『サマータイム』には入っていない。ライオンによると、どうもベシェはわざとそうしたのではないかということだ」
トランペッターで信頼すべきジャズの書き手、ジョン・チルトンのベシェ伝、
『ジャズの魔法使い』Sidney Bechet –The Wizard of Jazz (Oxford 1987→Da Capo)
Sidney BechetSidney Bechet
(1996/03/22)
John Chilton

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によりますと、
「このセッションのころ、フランキー・ニュートンの健康はベストではなく(アーカンソー州ホットスプリングスの療養から帰って間もなかった)、この日のセッションのリーダーをベシェに部分的に引き受けてほしいと実際望んでいた。(ザ・ポート・オブ・ハーレム・ジャズメンは)リーダーとサイドメンが明確に分れた通常のセッションではないし、結果的に悪感情が生まれるわけもなかった」

ちょっとした「藪の中」ですが、
「サマータイム」がベシェの肉声のようなソプラノ・サックス1本をフィーチュアした結果、より高次の名演として今に残ったのは間違いのないところでしょう。

70年以上前の録音ですが、
古さなど微塵も感じさせない心揺さぶる4分10秒です。

録音後半世紀も経とうかというころ、
「ベシェの『サマータイム』はTVCMにぴったりだよね!インパクトあるし」
というような発言をあるところでしましたところ、

間もなく森進一さんの歌う「サマータイム」がTVに大量に流れ始めました。

もちろん因果関係はありませんしベシェと森進一も無関係ですが、ベシェの情念的な演奏には演歌っぽいところもあり、「似ている」と思った記憶があります。

今調べたら1986年のホンダアコードのCMでした。

さて、
ベシェの「サマータイム」は発表の当初から立派な演奏(クラシック)と認められたようです。
「その通り。そしてあの曲がブルーノートを進むべき道に乗せもしたんだ。当時としては飛び抜けた演奏だったしね。(珍しい)ソプラノ・サックスの演奏で、その音色も独特だし、すべてが名作(クラシック)だ。後にジミー・スミスがオルガンを人気楽器にしたと同じようにベシェはソプラノ・サックスを人気楽器にした」

シドニー・ベシェ・クインテット「サマータイム」は
ポート・オブ・ハーレム・セヴン(第2次ハーレム・ジャズメンのフル・メンバー)
「パウンディング・ハート・ブルース」
とカプリングされ、ブルーノートの第6作(BN6)として世に送られます。

「サマータイム」がB面になっているのは、やはり選曲に不安があったものでしょうか。

後に12インチLP盤(BLP1201)に収められた時の評論家レナード・フェザーのライナーノーツに、
「当時こうした(甘い)ポピュラー・チューンを取り上げることは、従来のジャズ・ファンに対して少々乱暴なこと」
であったとあります。

しかし「サマータイム」は受け入れられ、ジョン・チルトンは前出書で
「最初の小さなヒット(first little hit)」
を記録したというアルフレッド自身の言葉を引用しています。

ところでチルトン書はこんなエピソードも紹介しています。

18時間に及ぶセッションが朝9時に終わり、ベシェとライオンは3番街を行き当たりばったりに歩いてちっぽけなデリで朝食をとります。そこには天井までトイレットペーパーが積まれていて、ベシェはアルフレッドに向きなおっていいます。
「まるで肥えだめだ」

出典は1969年のダウンビート誌のベシェ・インタビューのようですが、これは本インタビューでアルフレッドがベシェと再会し「サマータイム」録音を決めた店とまるで同じですね。

よほど印象的な場面だったのでしょうが、アルフレッドは録音前、ベシェは録音後と記憶している。

なんのこっちゃという方は本ブログ「アルフレッド・ライオン最後のインタビュー」の前回(第6回)をご参照ください。

これも「藪の中」ですが、何であれ当事者の記憶が当てにならないのは今に始まった話ではありません。

困ったことです。
って別にそんなに困っていませんが。

「サマータイム」はLP以前の録音ですので特定のCDはありません。
さまざまなコンピやベスト盤に収録されています。

サマータイム/シドニー・ベシェサマータイム/シドニー・ベシェ
(1998/12/23)
シドニー・ベシェ

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(まだまだ続く)
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史上最初の美少女ジャズ歌手、新倉美子がスイングジャーナル5月号で8ページ特集されています!

新倉美子さんをご存知ですか?

1950年代、洋楽なら何でもジャズだった時代にピュアにジャズと直面してピュアにジャズを歌った歌手です。

なんだ歌謡曲じゃんとか、これはポップスじゃん、というのではないホントのジャズ歌手です。

しかも美少女。
とても美少女。

『青春ジャズ娘』(1953新東宝)
というDVDがまだ何とか入手可能かも。

劇中の「バラ色の人生」はそのままプロモ・ビデオにしたい!

このDVDを観た感想や彼女のCDのことは
「宇宙遊泳と戦後最初の美少女ジャズ歌手」(1月30日)
shinkurayoshiko.jpg

とか
「史上最初の美少女ジャズ歌手新倉美子が動く!」(1月31日)
というのを本ブログに書いたので関心ある方は読んでくださいね。

で、
スイングジャーナルですが突然の大特集です。
題して
私が「青春ジャズ娘」だったころ

いいタイトルですね。

高橋慎一さんという批評家が取材/インタビューしてしっかりした記事にまとめています。
文中、新倉さんのこんな発言の引用があります。

「実はシンガーとしてデビューする以前からモデルの仕事をしていたんです。(中略)雑誌『平凡』『アサヒ芸能』の表紙にもモデルとして登場しています」

貴重な写真も多数載っている特集ですが、これらの表紙写真はありません。
サイトを検索してみましたが、いつの号か特定できませんでした。

見たい!
『娘十六ジャズ祭』(1954新東宝)
くらい見たい!

最後は元ビッグ・フォーの上田剛さん、昭和ジャズ研究家/ジャズ評論家の瀬川昌久さんとの座談会で、今も美しい御本人も登場します。 

以上、このところの新倉さん人気はジャズ・ファンよりも邦画ファンや美女ファンが支えて来た気がするのでにあえて書きました。

ジャズ専門誌スイングジャーナル5月号74~81頁
のチェックをお忘れなく。




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ブルーノート1,100円盤ベスト&モア・アンコール!~エルヴィン・ジョーンズとスタンリー・タレンタインの二つの「ラ・フィエスタ」

ブルーノートの1,100円盤シリーズ最終回、
ブルーノート・ベスト&モア1,100アンコール全70タイトル
が4月21日に発売になりました。

ブルーノートですからもとより名盤だらけですが、本邦初登場盤や初CD化盤が多数含まれているのが今回の一方の魅力です。

本邦初登場盤(以下本初盤)とは、近年のCDはもとより、
アナログの時代に国内盤LPも出ていなかった
という意味です。

以下の2作品は共にそんな本初盤でありますが、
①エルヴィン・ジョーンズ『メリー・ゴー・ラウンド』(4414)
メリー・ゴー・ラウンドメリー・ゴー・ラウンド
(2010/04/21)
エルヴィン・ジョーンズ

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②スタンリー・タレンタイン『ザ・スポイラー』(4256)
ザ・スポイラーザ・スポイラー
(2010/04/21)
スタンリー・タレンタイン

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さて、ここで問題です。
もうひとつの共通点は何でしょう?

何も調べずに答えられた方はブルーノート賢者の称号に値します。
何も差し上げられませんが。

正解は、
ともに「ラ・フィエスタ」という曲を含む。

「ラ・フィエスタ」といえば、チック・コリアが
カモメの『リターン・トゥ・フォエヴァー』(ECM)
リターン・トゥ・フォーエヴァーリターン・トゥ・フォーエヴァー
(2008/09/03)
チック・コリアフローラ・プリム

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で演奏している大人気曲ですが、そのレコード上の初演が①にあります。
名演です。

しかもチック自身と、ECM盤のテナー奏者ジョー・ファレルの二人が参加しています。

ラ・フィエスタは、ECM盤からチック、スタンリー・クラーク(ベース)、アイアート・モレイラ(パーカッション)の3人が参加したスタン・ゲッツの『キャプテン・マーヴェル』もありますが、こちらはECM盤のあとの録音です。

三つの「ラ・フィエスタ」の順序はこうです。
(1) エルヴィン 1971年12月16日
(2) かもめ  1972年2月2日&3日
(3) ゲッツ  1972年3月3日

ではなぜそんな記念すべき初演で名演が本初盤なのか?
なぜ40年も国内盤が発売されなかったのか?

それらしき理由:ジャケットの顔が怖い。

怖いというよりデカイのか。『モーニン』のアート・ブレイキーですらこれに比べれば控えめです。
これでなぜメリーゴーランドなのか?子供は夢を見るのではないか?

しかし本当の理由は、当時のブルーノート特有の状況からもたらされたものと思われます。

おそらく本当の理由:ブルーノートは1976年まで国内盤プレスが許可されなかった。(一部例外あり)

録音から製盤、ジャケット製作の全工程を手元に置くという、創立者アルフレッド・ライオン以来のポリシーがまだ守られていたのです。

1972~73年ころのことと思われますが、本作の直輸入盤LPが輸入盤店や大型レコード店に並んでいた記憶があります。

1976年に全面的な国内プレスがスタートしても、あまりに卑近の作品であり、4000番台もここまで深くなると国内プレス優先順位のリスト上位にはとても入らなかったでしょう。

1500番台はもちろん、ブルーノートのすべてが入手困難だった時代の話です。

**********************

一方のスタンリー・タレンタインですが、作品数のわりに復刻される機会が少なく、今回発売された2/70作とも本初盤です。

○『ラフ&タンブル』(4240)1966年7月1日録音
○『ザ・スポイラー』(4256)1966年9月22日録音

共に66年録音、リズム隊は同じマッコイ・タイナー・トリオでアレンジと制作をデューク・ピアソンが担当、フロントの編成は違うがどちらもオクテット(8人編成)という姉妹作品です。

前述のように、妹分である後者に「ラ・フィエスタ」は収録されています。

「おお、ここにも『ラ・フィエスタ』が」
「はい」
「あの『ラ・フィエスタ』かな」
「いいえ」
「ふーん」
「でもいい曲です」
「ふーん」
「とてもいい曲です」
「ふーん」

というような会話の結果ぼくも初めて知ったもうひとつの「ラ・フィエスタ」です。
知られざるアルバムにこんな快楽的名曲があるからブルーノートは4000番台後半も侮れませんね

アルマンド・ボーザというパナマのラテン・ダンス楽団の親分の作曲のようです。

(おしまい)







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ジャンル : 音楽

三上剛志VS.ラズウェル細木、吉祥寺メグのブルーノート対決に出かけました

寺島靖国さんの吉祥寺メグで
ブルーノート対決
というのがあると聞いて観戦に出かけました。

対決するのは
オーディオのスーパーヘビー級達人でブルーノート・オリジナル盤完全コレクションの三上剛志さん
VS.
ソウルジャズを偏愛する?孤高のジャズ漫画家ラズウェル細木さん

超個性派のお二人がテーマごとに曲をぶつけて戦うというのですからちょっと見逃せません。

勝敗はお客の挙手で決めるそうです。

では清き一票を投じにはるばる出かけようではないか。

*************

18時半にメグに着くとすでに満席で、お店の方が何とか席を作ってくれます。
ロリンズとモンクが共演する「ミステリオーソ」が流れています。

どうも時間を間違えたらしく、すでに試合が始まっています。
かろうじてその1曲目に間に合ったということのようです。

以下、テーマ別の対決の内容と結果をメモしておきます。
左が三上さん、右がラズウェルです。
○が勝ちで●が負けです。

①1500番台対決 
○『ハンク・モブレー』(1568)-『ソニー・ロリンズVol.2』(1558)●
ハンク・モブレーハンク・モブレー
(2010/04/21)
ハンク・モブレー

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②ルー・ドナルドソン対決
○『ミスター・シンガリン』(4271)-『4、5、6』(1537)●
ミスター・シング・ア・リングミスター・シング・ア・リング
(1997/09/26)
ルー・ドナルドソン

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③グラント・グリーン対決
○『ストリート・オブ・ドリームス』(4253)-『ライヴ・アット・ザ・ライトハウス』(037G2)●
ストリート・オブ・ドリームスストリート・オブ・ドリームス
(2006/02/22)
グラント・グリーン

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④ジャズ・メッセンジャーズ対決
●『ライク・サムワン・イン・ラヴ』(4245)-『ウィッチ・ドクター』(4258)○
The Witch DoctorThe Witch Doctor
(1999/10/26)
Art Blakey & The Jazz Messengers

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(休憩)

⑤ トランペット対決
●ドナルド・バード『バード・イン・ハンド』(4019)-『ザ・マグニフィセント・サド・ジョーンズVol.3』(1546)○
ザ・マグニフィセント・サド・ジョーンズ Vol.3ザ・マグニフィセント・サド・ジョーンズ Vol.3
(2000/03/23)
サド・ジョーンズ

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⑥ ピアノ対決
○ジャック・ウィルソン『イースタリー・ウィンズ』(4270)- ハービー・ハンコック『スピーク・ライク・ア・チャイルド』(4279)●
イースタリー・ウィンズイースタリー・ウィンズ
(2009/09/16)
ジャック・ウィルソン

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⑦ テナーサックス対決
●ティナ・ブルックス『トゥルー・ブルー』(4041)- ハンク・モブレー『ソウル・ステーション』(4031)○
ソウル・ステーションソウル・ステーション
(2009/06/10)
ハンク・モブレー

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⑧ オルガン対決
●ジミー・スミス『オープン・ハウス』(4269)- 同『プレイズ・プリティ・ジャスト・フォー・ユー』(1563)○
ジミー・スミス・プレイズ・プリティ・ジャスト・フォー・ユージミー・スミス・プレイズ・プリティ・ジャスト・フォー・ユー
(2005/11/23)
ジミー・スミス

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ご覧のとおり、
三上さんがいきなり三連続パンチを決め、ラズウェル戦意喪失かと思われましたが、
後半戦粘ってかろうじてタイに持ち込みました。

王道を行く三上さんに対して、ラズウェルガ奇策を弄し陽動戦術に出るというのが、
戦前の大方の(というかぼくの)予想でしたが、
何と実際は②、⑥など逆の結果になっています。

②ではただただストレートに甘い「いそしぎ」でルーの生真面目なビバップを叩き、
⑥では今やクラブ・ジャズのクオシモードもレパートリーにしている知られざるピアニストの名曲「オン・チルドレン」を持ち出してハービーの大名盤を殲滅した三上さんの戦略が光りました。

両者ともにウラのウラ、そのまたウラをかいて作品を選別しており、結果として③など考えすぎてかなり凡庸な対決になったことは否めません。
グリーンはもっといい曲いっぱいあるんじゃないのという、司会者からもっともな意見が寄せられました。

④も、ともにリー・モーガン、ウェイン・ショーターがフロントの黄金のクインテット期の作品ですが、ともに録音されてから数年間はオクラ入りしていた隠れ名盤系です。
『ライク・サムワン~』は人気盤『チュニジアの夜』(4049)のセッションの、6年後に発表された未発表曲集であります。
⑧はジミー・スミスの通好み盤同志の対決となりましたが、お二人ともブルーノートに数いるオルガン奏者を360度考え抜いて、やはりスミスに戻ったものなのでしょう。

実際ラズウェルはルーベン・ウィルソン『セット・アス・フリー』という飛び道具を懐に忍ばせていたのですが、場の雰囲気を考えて出しあぐねたようなのです。

結果、ジミーの『プリティ~』で勝利をおさめ、同点に持ち込んだわけですから正解だったのですが。

勝敗は延長戦に持ち込まれることになりましたが、お二人とも予備は一作品ずつしか持って来ていません。
ラズウェルは上記ルーベン・ウィルソン。
対して三上さんは何とホレス・パーラン・トリオ『アス・スリー』(4037)。

かくして最後、真打対色ものというか、ヘビー級対漫才師というか、珍妙な異種格闘技が実現しました。

⑨決定戦
○ホレス・パーラン『アス・スリー』(4037)- ルーベン・ウィルソン『セット・アス・フリー』(4377)●
アス・スリーアス・スリー
(2009/06/10)
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セット・アス・フリーセット・アス・フリー
(2009/03/25)
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パーラン・トリオの低音が地を揺るがすようなブルースに、ルーベン・ウィルソンのコーラス入りのお気楽なサウンドは、特にこの場では勝負になりようもなく、かくてラズウェル善戦するも一敗地にまみれる結末となりました。

かにみえましたが、
最終戦のあまりの異種格闘技ぶりに、これは参考記録にとどめるという司会者の英断があり、この日のブルーノート対決、結果は引き分けに確定したのでした。

対戦者のお二人、そして審判のお客さま、ともどもお疲れ様でした。
ぱちぱちぱち。

最後、
途中から乱入した評論家岩浪洋三さんと店主寺島靖国さんの余興の一戦がありました。

岩浪ブルースと寺島トロンボーンというお二人の余技のエリアからエントリー曲が選ばれ、対決は代理戦争の様相を呈しました。

⑩余興対決
●テディ・バン『バチュラー・ブルース』(コンピCDより)- ベニー・グリーン『バック・オン・ザ・シーン』(1587)○
バック・オン・ザ・シーンバック・オン・ザ・シーン
(2008/10/22)
ベニー・グリーン

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ブルーノート最初期(1940)のブルース録音の心に滲みる素朴な歌とギターは強烈なインパクトがあり、地味な相手を考えればあわやと思わせました。

しかし、寺島さんはこの地味な作品の中にも哀愁のメロディ「メルバズ・ムード」を発見しており、こちらが順当に勝利を収めました。

メグでは今後もこういうイベントを続けるようです。
楽しみですね。
ジャズ喫茶は楽しくかつ勉強になります。

ちなみにこの日三上さんが持ち込んだのはすべてオリジナル盤で、
メグのアバンギャルドという高価なスピーカーでブルーノートの最初の音を聴くという贅沢な晩でもありました。

(おしまい)

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ブルーノートの創立者アルフレッド・ライオン最後のインタビューその⑥~シドニー・ベシェとの出会い

(前回まで)
ブギウギ・ピアノに続くブルーノート第二のセッションにアルフレッドが選んだのは、
臨時編成のバンドによるアーバン・ブルースの録音でした。バンド名はブルーノート最初期の出資者マックス・マーグリスによってザ・ポート・オブ・ハーレム・ジャズメンと名付けられました。

さて
バンドは1939年4月と6月の二回録音を行いますが、
後者にはニューオリンズの名手シドニー・ベシェが参加します。

ベシェだけが10歳ほど年長の19世紀(1897年)生まれですから、ゲスト参加的な意味があったのでしょう。

アルフレッドとベシェの出会いは遠くベルリンにさかのぼります。

ある日、アルフレッド少年に母親がこんな話をします。
母親は
「いわば有閑マダムみたいなもので、ものすごい美人」
だったそうで、演劇や映画のセットに出入りしていたようです。

エキストラでしょうか?
あるいはスターの友人とか。

「今日すごく変な人に会ったの。ターバンを被った立派な殿方で大きな白い犬を二頭連れているの。立ち話したらミュージシャンの方で、演奏を見に来るようにって招待していただいたわ」

こうしてアルフレッドは母親に連れられて
「インターナショナル・ハウスとか何とかいう会場」
に出かけていきます。

「1922年のことに間違いない」そうですが、
であればアルフレッドは13~14歳です。

会場ではフロアごとに違ったタイプの音楽が演奏されていました。
カウボーイの写真やらなんやらが飾られたアメリカン・バーのフロアがあって、そこにシドニー・ベシェはいたのです。

カウボーイ姿でソプラノ・サックスを抱えていました。 
あのターバン男と同一人物かどうかはインタビューの文面からは定かでありません。

そして時は流れ、
アルフレッドはニューヨークに住んでいます。

ある日、シドニー・ベシェがアップタウンの125丁目あたりに住んでいると聞きつけてアルフレッドは会いに行きます。

「とてもいい人だった。母のことを話したけれど、覚えていなかった。これまでたくさんの女の人と知り合ってきただろうからね。演奏はあまりしていないようで、洋服屋を開こうとしていた」

アルフレッドはベシェを食事に誘います。
イタリアンの食料品店でサンドイッチを買い、二人で奥のテーブルに座ってほおばります。

テーブルは二つだけで、一方の壁にはトイレットペーパーが天井まで積み上げられています。

ベシェがいいます。

「まるで肥え溜めだ」

「なぜレコードを吹き込まないのですか?」

アルフレッドが聞くとベシェはうんざりしたようにこう答えます。

「『サマータイム』を吹きこみたいとRCAビクターに言ったら、答はノーだった。お前の仲間の黒人が欲しがるものじゃあないってさ」

当時のジャズ・レコードは、主に黒人のマーケットを意識したものでした。

アルフレッドはいいます。

「それを私にやらせてください。ブルーノートに吹き込んでください」

そしてベシェは2度目のポート・オブ・ハーレム・ジャズメンのセッションに参加して『サマータイム』を録音するわけですから、
二人のこの再会は、2度のセッションの間ということになるのでしょうか。

ともあれ、
こうしてブルーノート最初のヒット曲は生まれ、
ベシェとブルーノートの10数年の付き合いも始まるわけです。

ブルーノート・イヤーズブルーノート・イヤーズ
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シドニー・ベシェ

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(まだまだ続く)

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プロフィール

雑木林進&ぽぽぱんち

Author:雑木林進&ぽぽぱんち
日々の旅人とその番犬たち。
1986年、ジャズ批評誌掲載の「50年代はなぜエライ」「『ジャズ大名』におけるジャズ・フェスティバルの生成」などでスルドくデビュー。2010年より、同誌に編集部新着本全紹介「ジャズは手に取って読め!」連載開始。新ジャズ雑誌「ジャズジャパン」創刊号(2010年8月)より、古今東西ジャズ本紹介「ジャズは本棚に在り」連載開始。
aka 行方均(レコード制作者)
最近の一句;
本積んで/読み齧る人/齧る犬
墨東の/タワーひとりで/たけくらべ

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