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ブルーノートの発掘史、及びBNLTベスト1は何か?その2

前回は
1975年発売のBNLA451-H2 チェンバース~コルトレーン『ハイ・ステップ』
に始まるカスクーナの第1期大発掘について触れましたが、
実はその前があります。

じゃ~ん
・前々史~4000番台末からBNLAの時代/デューク・ピアソン編

そう、マイケル・カスクーナの先代のブルーノート発掘者とは、
1960年代前半~70年代前半、アルフレッド・ライオンやフランク・ウルフを助けて
ブルーノート制作陣の一翼を担った
デューク・ピアソンその人であります。

この人だ。名ピアニストでもあった。
デビュー盤『プロフィール』と大傑作の誉高い『テンダー・フィーリンズ』。
 ↓
プロフィールプロフィール
(2007/12/26)
デューク・ピアソン

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テンダー・フィーリンズテンダー・フィーリンズ
(2007/08/22)
デューク・ピアソン

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そして名作曲家/アレンジャーでもあった。
「スイート・ハニー・ビー」は絶対聴いてほしいぞ。
スイート・ハニー・ビースイート・ハニー・ビー
(2009/06/10)
デューク・ピアソン

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同曲の初演を収録したリー・モーガン『カリスマ』はピアソンが制作。
カリスマカリスマ
(2008/12/26)
シダー・ウォルトン、ジャッキー・マクリーン 他

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というわけで
先代発掘者ピアソンとカスクーナの最大の違いの答は、
「自分で作ったものを自分で発掘する」でした。
他の答の方はボッシュート!って、そんな質問してないけどね。

で、ピアソン発掘盤の最初の成果は何かというと、

じゃーん、
ハービー・ハンコック参加のグラント・グリーン『ゴーイン・ウェスト』。
ゴーイン・ウェストゴーイン・ウェスト
(2006/03/23)
グラント・グリーン

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フィーリン・ザ・スピリット+1フィーリン・ザ・スピリット+1
(2008/08/20)
グラント・グリーン

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↑名盤『フィーリン・ザ・スピリット』(4132)以来の名コンビである。
といったって、『ゴーイン・ウェスト』(4310)の方が
録音3週間早いんだけどね。

『ゴーイン・ウェスト』は1962年11月30日録音、発売は多分1969年のどこか。
7年近く眠っていたのだ。
直後に録音されたスピリチュアル集『フィーリン~』に席を譲ったものであろう。

『ゴーイン~』はカントリー集だしな、
それはグリーンといえばスピリチュアル集が似つかわしいに違いないであろう。
しかし『ゴーイン~』も劣らぬ名演、名盤である。

実はグリーンはこのころから
ピアソン制作でいろいろなことをやっていて、
必ずしもソウルフル!なばかりではないのだ。

例えば『アイドル・モーメンツ』(4154)では
新主流派勢のジョーヘンやボビー・ハッチャーソンと一緒に
いい感じでMJQの「ジャンゴ」やっとるぞ。
アイドル・モーメンツ+2アイドル・モーメンツ+2
(2007/12/26)
グラント・グリーン

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70年の『グリーン・イズ・ビューティフル』(4342)では
ビートルズ「ア・デイ・インザ・ライフ」(いいよ!)やバート・バカラックやってるし、
グリーン・イズ・ビューティフルグリーン・イズ・ビューティフル
(2010/04/21)
グラント・グリーン

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71年の『ヴィジョンズ』(4373)では
モーツァルトの40番(おもしろいよ!)やってるしな。
ヴィジョンズヴィジョンズ
(2009/09/16)
グラント・グリーン

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まあ、早くからグリーンの多才を理解していたピアソンとしては、
棚上げになっていた名演を
「ハンコックも今や人気だし」といって棚から下ろしてきたものなのでしょう『ゴーイン・ウェスト』。

さらにこの後、ピアソンは自作も発掘しています。
BNLA317-G『イット・クッド・ハプン・ウィズ・ユー』は
みずからピアノとアレンジを手掛ける5管+ヴォーカルのブラジリアンな大コンボ。
こちらは1970年2月と4月録音で、発売が74年後半と思われるので、
4年半のお眠み。

しかし、
本日ワタシが声を大にしていいたいのは、
こういう中途半端な発掘盤ではありません。

それは1975年前後、
当時のブルーノートがようわけのわからん暗い柄のジャケットで出していた
2枚組のベスト盤シリーズの1枚
BNLA394-H2 『スタンリー・タレンタイン』なのだっ!

ちなみにこのシリーズを列挙しておくと(えらそうにいうなよ)、

356-H2『フレディ・ハバード』
392-H2『サド・ジョーンズ~メル・ルイス』(ソリッド・ステート原盤)
393-H2『デクスター・ゴードン』
394-H2『タレンタイン』
395-H2『チック・コリア』(ソリッド・ステート原盤含む)
399-H2『ハービー・ハンコック』
400-H2『ジミー・スミス』
401-H2『ソニー・ロリンズ』
402-H2『ホレス・シルヴァー』

ふーん。ブレイキーないのかよ、というような問題は別として、
これがあの、
すべてのジャズ・レコード・ファンから黙殺され、
鍋敷きにもならぬかと思われた暗~く奇妙なジャケのベスト盤シリーズのすべてだ。

しかしこの中に
監修者デューク・ピアソンによってそっと紛れ込まされた
『スタンリー・タレンタイン』が、
ブルーノート最初の本格的発掘盤であったとは誰が知るであろう?

2枚組のうち1枚がベストの選曲、
もう1枚にピアソンが制作した67年2月と6月の未発表セッションから
3曲ずつが収められているのだ。

思うにこれらのセッションをベスト盤中に紛れ込ませようとをたくらんだピアソンは、
発覚を恐れてシリーズをなるべく変てこで目立たぬものに仕立て上げたのではないか。
(そんなわけないだろ)
いずれも5,6管の大編成コンボで演奏は素晴らしく、
ピアソンの企てもわからぬではない。(違うって)

さて、
ここで場面はカスクーナへと移る。
ブルーノートの倉庫への出入りを許される直前の頃だったが、
カスクーナだけはピアソンの意図を正しく感知し、
この驚くべき発掘盤を手にこう考えた。

「これらの未発表セッションは素晴らしい。しかしそれぞれに未発表曲が残っている」

この数年後の成果が、
2セッションの未発表曲のみをまとめた
BNLT993 タレンタイン『ニュー・タイム・シャッフル』なのだ。

その後のCDの時代、
これら2セッションはそれぞれ完全化されて、
『ア・ブルーイッシュ・バッグ』(見たことないかも)
『リターン・オブ・ザ・プロディガル・サン』(写真)
という2枚のCDになった。
Return of the Prodigal SonReturn of the Prodigal Son
(2008/04/16)
Stanley Turrentine

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そして今年、
ついにこれら2セッションは、
本来未発表セッションの未発表曲集だった
BNLT盤の方を完全化する形で一体化されました。
ニュー・タイム・シャッフル+6ニュー・タイム・シャッフル+6
(2012/07/25)
スタンリー・タレンタイン

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つまり
ピアソン~カスクーナというブルーノート発掘男二人が、
リリース物を通じてのみ会話して30年越しで完成した作品というわけですから、

今回のBNLT33タイトル中これがベスト1である、
とワタシが言っても文句はないであろう。(もともとないって)
そもそも
1曲目R&Bのカバーの「リターン・オブ・ザ・プロディガル・サン」
がめっちゃクール!なんだよね。
聴いて下さいね!















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テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

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プロフィール

雑木林進&ぽぽぱんち

Author:雑木林進&ぽぽぱんち
日々の旅人とその番犬たち。
1986年、ジャズ批評誌掲載の「50年代はなぜエライ」「『ジャズ大名』におけるジャズ・フェスティバルの生成」などでスルドくデビュー。2010年より、同誌に編集部新着本全紹介「ジャズは手に取って読め!」連載開始。新ジャズ雑誌「ジャズジャパン」創刊号(2010年8月)より、古今東西ジャズ本紹介「ジャズは本棚に在り」連載開始。
aka 行方均(レコード制作者)
最近の一句;
本積んで/読み齧る人/齧る犬
墨東の/タワーひとりで/たけくらべ

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